夢のあと





とある都内の一等地にある”廃墟”。


駅からも歩いて1分とかかりません。


嘗てはたくさん人が住んでたマンションだったことでしょう。


入り口はベニヤがはられて塞がれております。


いくらなんでも蔦が生え過ぎてますねぇ。


なんらかの”理由”があって残されているんでしょう。


頑固なおじいさんが相続を曖昧にしたまんま死んじゃって、


親族で分割しちゃったもんだから権利が分散してしまって建て直しができない、とか。


借金の担保でとられちゃったまんま放置されてる、とか。


建て直しすると建蔽率の問題で建て替えられない、とか。


とある特殊な団体が持ち主になっちゃってる、とか。


そもそも持ち主が”廃墟”趣味だったりすることはないでしょうけど、


更地にする資金がもったいない、なんてこともあるかも知れませんね…。


想像は膨らみます。


1階で商売してたのがオーナーだったら、


案外、”頑固じいさん”が当たってるかも知れません。


財産なんて墓場まで持ってってもしょうがないのにねぇ…。


でも、”頑固”じゃなくって”病気”なんかも考えられるかも知れませんね。


あるいはなんらかで”突然”だったとかも。


都心の一等地でこの有様は単なる”ムダ”に過ぎませんが、


オレ的にはこういう空間は意外に好きなんです。


”廃墟”趣味なんて、決していい趣味とは言えませんが、


人間生活のわびさびを感じずにはいられません。


ふと思いつくのがいつも…、



”夏草や兵どもが夢のあと”



芭蕉イズムはなかなかいいですね。


”旅の虫”がわいてくれば、オレもまたギラギラしてくるかもね。


でもこれって一種の妄想癖???