海辺の叙景/つげ義春
記念すべき第10回は、
昭和42年9月の作品です。
母親に『日陰のもやしみたいだから黒くなれと言われて』渋々ついてきた主人公は、
海岸で同じ東京からきた女性と知り合う。
崖上から釣り人が釣ってる様を見ている女性に気づき、
タバコをせがまれたことから会話が始まる。
そして明日もこの海岸で会うことを約束した主人公でしたが、
翌日は生憎の雨。
誰もいない雨の海岸で雨宿りしながら待っていると、
ちょっと遅れて昨日の女性が…。
『それに私ものすごい勇気だして…ビキニ着てきたの』
『これで一度泳いでみたかったの』
そして…。
つげ義春さんの作品はいつでも”文学的”です。
当時は”随筆漫画”なんて言われたそうですが、
独特のタッチと一種”投げっぱなし”的なストーリーはとても衝撃的でした。
もちろん年代的にオンタイムではございませんが、
グイグイと惹きこまれる不思議な世界です。