マルキュー


渋谷の象徴『109』。オレが小さい頃からあったからもう見慣れた風景。しかもこの中で3年働いてた。『109』はよく知られてると思うけど『東急』の語呂合わせで、しかも営業時間も午前10時から午後9時ということだ。オレがいたのはタイ料理屋だから午前11時から午後11時で何にも関係なかったけど。昼になると店員のギャルさんたちがランチによく来てた。月に1回ある店長会は凄かった。狭い会議室に各店の店長さんが集まるんだけど、みんなギャルの格好してて化粧や香水の匂いもキツクて、しかも煙草人口も多くてたくさんギャルがスパスパやっていて煙かった。男子人口が少なくて一見天国のようだが…。中のテナントが109店あるというのも聞いたことがある。だけど数えたことないからホントかどうかは知らない。地下のお店は古くからのおつきあい店たちで、花形は2階3階の流行店だ。オレが働いてた時は『セシルマクビー』とか『エゴイスト』なんかが流行ってたみたい。お正月になると福袋をもとめて中学生やら高校生の女の子たちが地下道いっぱいにならぶ。前日から狙ってるようなこたちもいて風紀上あんまりいいとはいえなかったかも知れない。実際普段から入り口を出たところに座ってるこたちは『ナンパ待ち』のようだったし、最近ではもっとエスカレートして『神待ち』というのもいるらしい。オープンするといっせいに福袋を奪いあって、すぐさま階段やトイレ、外にまで出ていって中身をひろげる。その場で着替だしてサイズをチェックしてあわないやつは知らない人でも交換しあったりしていた。なにしろところ構わずに着替えちゃうんだから目のやりばに困った。知ってる人は知ってるようで、これを狙ったマニアさんが警備員につかまってるのもみた。なんか乱れてるような荒んでるような感じもしたが、ランチに来てたギャルさんたちは話すと意外と真面目で、とても一生懸命でいいこたちだった。人間見た目じゃないんだね。