父からの贈り物
先週、父が逝きました。
脳幹梗塞で倒れ、発見が遅かったのでもう助かりませんでした。
意識がないまでも病院で苦しむ父の姿に自分を照らし合わせ、
同じ血管の病気だから明日はわが身と思う不安と恐怖と。
もう意識は戻らない、乗り越えても全身麻痺の植物状態。
牡丹の花は父が好きだった鎌倉彫の代表的なモチーフ。
通夜の晩に初めて語り合えた、男どうしの人間のかたち。
それほどに距離が離れていた。
ばかやろう。寂しかったんだろう…。
素直になれれば…、くだらぬプライドなんて捨てちまえばよかったんだ。
六文銭は紙切れだけど、オレたちが作った団子とご飯はおいしそうだったろ。
とぼけ顔の写真だって、オレがアルバムから選んだんだぜ。
日記に書いてあった、庭で見た”透明のなぞの球体”ってなんのこと?
今週末、どうやら父から林檎が届くらしい…。
まさかこんな形で受け取ることになるなんてね。
お父さん、ありがとう。
そして、さようなら。