不死鳥伝説

大仁田厚が旗揚げしたプロレス団体『FMW』。電流爆破デスマッチなどの過激な演出や男女入り混じった戦いなど『邪道』の旗印の下、独特な『エンタテイメント』を武器に隆盛を見た団体だが、派手な飛び技などを得意技として文字通り『エンタテイメント』だった『ハヤブサ』の不死鳥伝説はここから始まった。フェニックスやファイアーバード、ファルコン・アローなど、オリジナル技でジュニアヘビー級ながらエースとなり、大仁田の引退試合『世界ブラスナックル選手権』の相手もつとめ、大仁田なきあとの団体を牽引。ライガーやサスケなどとの名勝負を展開した。新崎人生とのタッグで全日本にも参戦し、現存する最古のタイトル、アジアタッグの第65代王者にも輝いている。現在は試合中のアクシデントで重症を負いリハビリ中の身だが、プロレス界の、特にインディ団体という意味でも、ハヤブサの功績は大きい。オレ的には、人生&ハヤブサ組のタッグが最高に好きだった。嘗てこんなにエキサイティングなタッグチームがあっただろうかと。軽量で技の重さもスタミナも違うヘビー級選手を相手にかなりのいい勝負をして追い詰めた。馬場さんに認められチャンスをもらい、アジアを獲った戦いも本田&泉田組というヘビー級チームだったし、馬場さん亡き後の全日本がタイトル流出の屈辱に送り込んだ刺客は、すでにアジアを卒業していたスーパーヘビー級ノーフィアー、大森&高山組だった。その後、ノーフィアーアジアタッグ王者のまま世界タッグを奪取するという異常事態が起こり、馬場さん亡き後のわずか数ヶ月で、馬場イズムは破壊されてしまった。この頃までのプロレスはとてもおもしろかった。思えば全日の新弟子1号の大仁田が左膝蓋骨粉砕骨折をきっかけに全日を追われ、新団体をどん底から立ち上げて成功し、その後継者のハヤブサを全日のリングに呼んであげるような馬場さんのやさしさがステキだった。FMWは悲惨な最期だったが、もう一度あの頃のプロレスが見たい。ハヤブサ伝説が見たい。※大仁田の引退試合は例のごとく『ノーロープ有刺鉄線~』というタイトルなんですが、違反の疑いのある言葉に抵触したらしく表示できませんでした。