時代劇を10倍楽しむ

『必殺仕事人』が再開したのは喜ばしいことだが、内容についてはちょっと。もちろん前作は別物だから同じかそれ以上を求めているとかそういう訳では決してない。初期の『剣客商売』はその点すばらしかった。じゃあ何かといえば、言葉がすべて”速い”ということ。台詞のすべてが今風に聴こえてしまうことだ。なにかと大変な春風亭小朝さんが言い回しのチェックをしているみたいだが、いかにも風のわざとらしい表現が多く、馴染んでいない感じが出てしまっている。それはひとえに表現を皆にもわかりやすいようにしているふしがあるからだろうと思う。時代劇を楽しむには用語を知らなければならなかったのは昔の話だろうか。テレビ局にはそれではいけないんだが、オレ的にはわからない奴は見なくてもいい。例えばクライマックスで遠山の金さんが『打ち首、獄門』といったら解るけど『エントウ』といったら意味が解らないとか。暴れん坊将軍が『オレは旗本の』っても『旗本』が解らないとか。話そのものがわからないことになるからだ。それでも今風にスケさんカクさんが『静かにしてください』っていったら違うでしょう。武士の言葉、町人の言葉にも違いがあるし、とにかく勉強してみてほしい。『与力・同心』『旗本・御家人』『老中・若年寄』『花魁・夜鷹』『札差・口入屋』『目付・町方』『切り餅・小粒』などなど。『旅籠・菜飯屋』なども現代では使わない言葉だ。『虚無僧』や『鳥追い』の格好なんかもよく登場する。『浪人』とか『無宿』なんてのもよく出てくる。時代劇にいっかんしていえることはほとんどが『勧善懲悪』ということ。これは世の中にとってもいい。ワルも時にはいいことをしたり、『人間味』ということでも奥深い。昔の日本はこんなに豊かな精神世界を持ってるんだということもよくわかって教育上もとてもいいはず。そういう意味では今回の『仕事人』復活はお祭りみたいなもんかも。またこのご時勢に『晴らせぬ恨みを晴らしてくれる』ひとつの夢なのかもしれない。