メトロマニラ

実際に行ってみたマニラは、道路の舗装がボコボコでマンホールに蓋がないのも放置されていて、通りの隅には生ゴミが積み上げられ強烈な悪臭を放ち、腕や足がないものもらいが50メートルおきくらいにいて、ストリートチルドレンもたくさんいた。ショッピングをするにもかばんを預けないとスーパーに入れなかったし、銀行や両替商の店の前にはショットガンを持ったガードマンが立っている。建設途中で放置された廃墟ビルがたくさんあり、マビニはネオンだらけ勧誘だらけだし、キアポ周辺のダウンタウンでも夜になると目つきの怖い人がたくさんいた。トンドのようなスラムも存在したし、マルコス独裁政権時の疲弊した経済を反映してか、確かに物騒な雰囲気はたくさんあった。それでも助け合いの精神で親切な人々はたくさんいたし、子供たちの眼はとても輝いて見えた。スモーキーマウンテンでゴミを拾い集めて生計を立てている人々のなかには子供たちもたくさんいて、それこそ学校にも行けない子供たちがたくさんいる。決してこれがあるべき正しい姿だとは思わない。それでも受験とかゲームとかで疲れきった日本の子供たちの眼つきと比べると、例え貧乏でもこちらのほうがよっぽど子供らしい。なにもかも出来上がってしまっていて、モノに溢れている日本よりかは、より人間らしい生活がそこにはあるような気がした。ビデオやウォークマンもないけど、日本が遠い昔に忘れてしまった『あったかい』人間の生活があるような気がした。